家にネズミがいるサイン|糞の大きさ・かじり跡・通り道の汚れで種類を見分ける
この記事のまとめ
- ネズミがいる証拠は「ラットサイン」と呼ばれ、音・かじり跡・糞・足跡・こすり跡(体の脂と汚れの黒光りした跡)が代表です。
- 糞の大きさは町田市保健所の資料で、ドブネズミ10〜20mm、クマネズミ6〜10mm、ハツカネズミ4〜7mmです。10mm前後で重なるため、大きさだけでは決めきれません。
- 川口市の資料では、ドブネズミの糞は同じ場所にかたまり、クマネズミの糞は散らばって落ちています。
- 天井裏や壁の中に痕跡があればクマネズミ、植込みや床下ならドブネズミが目安で、東京都多摩府中保健所に寄せられる相談はほとんどがクマネズミです。
- 糞が落ちていた場所の消毒は消毒用エタノール(アルコール)で拭く程度でよく、食器や調理器具はよく洗浄・消毒すると、さいたま市と東京都多摩府中保健所の資料にあります。
家にネズミがいるかどうかは、音・かじり跡・糞・足跡・こすり跡の5つを探すと見当がつきます。自治体の資料では、これらの証拠をまとめて「ラットサイン」と呼んでいます。種類は糞の大きさと落ち方、痕跡のある高さで絞れます。糞は町田市保健所の資料でドブネズミ10〜20mm、クマネズミ6〜10mm、ハツカネズミ4〜7mmとされていますが、数字が重なるので、大きさだけで種類を決めるのは無理があります。
この記事は、公的な資料の数字をそのまま使って、サインの見つけ方と種類の絞り方を整理します。天井裏の足音がネズミなのかハクビシンなのかを迷っている場合は、屋根裏の足音はハクビシン?ネズミ?音・時間帯・糞で見分ける方法が先です。この記事は、ネズミだと見当がついている人向けに、痕跡の読み方に絞ります。
ネズミが残すサイン(ラットサイン)
東京都福祉保健局の小冊子によると、ネズミが活動する時間帯は主に人が活動していない夜中なので、ネズミ本体を確認するのは難しく、活動に伴って残る証拠を手がかりに活動場所を特定します。ラットサインの種類は、音、かじり跡、糞、足跡、体のこすり跡などです。
| サイン | 資料に書かれた内容 |
|---|---|
| 音 | 夜中や夜明けに、天井や壁の中からカタカタ音がする(町田市保健所) |
| かじり跡 | パンや乾燥麺、野菜などにかじられたような跡がある(町田市保健所)。食べ物やコードがかじられている(さいたま市、川口市) |
| 糞 | 黒い5mm程度の細いかたまりが落ちている(町田市保健所) |
| 足跡・こすり跡 | ネズミの体から分泌される脂分と汚れが通り道に付着してできる、特有の黒光りした跡(東京都福祉保健局、東京都多摩府中保健所) |
ラットサインからは、外からの侵入経路、家の中のネズミの通路、餌場や営巣場所がわかる、と東京都福祉保健局の小冊子にあります。東京都多摩府中保健所の冊子も、ラットサインの近くにすき間があれば、そこを出入りに使っている可能性が高いと説明しています。
糞の大きさと落ち方で種類を絞る
家に入るネズミは、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種類が中心です。町田市保健所のパンフレットの比較表を、原文の数字のまま載せます。
| ドブネズミ | クマネズミ | ハツカネズミ | |
|---|---|---|---|
| 体長(尾含まず) | 22〜26cm | 15〜20cm | 6〜9cm |
| 糞の大きさ | 10〜20mm | 6〜10mm | 4〜7mm |
| 特徴 | 植込みや地下に多く生息している。肉を好み、警戒心はあまり強くない | 主に室内に巣を作る。身軽で運動能力が高く、警戒心も強い。植物質を好む。毒餌やトラップにかかりにくい | 体が小さいので1センチ程度の隙間から侵入する。畑や森に多く生息している。植物質を好み、警戒心はあまり強くない |
糞の大きさは、ドブネズミの10〜20mmとクマネズミの6〜10mmが10mmで重なります。クマネズミとハツカネズミも、6〜7mmの範囲が重なります。そのため、この記事では表の数字を目安として使います。
川口市の資料は、大きさではなく落ち方の違いを挙げています。
| ドブネズミ | クマネズミ | |
|---|---|---|
| 糞の落ち方 | 同じ場所にかたまって落ちている | 散らばって落ちている |
| 生息場所 | 植え込みや下水道、床下など | 壁の中、天井裏など |
東京都福祉保健局の小冊子では、生息場所をドブネズミは「植込み、公園の地面、下水管、下水溝、ビル低層階」、クマネズミは「ビル内部の高い所、壁の中、天井裏」、ハツカネズミは「畑に生息(農村型)」としています。これらを合わせると、天井裏や壁の中に糞が散らばっていればクマネズミ、床下や庭の植込み付近でかたまっていればドブネズミ、というのが絞り込みの目安になります。
なお、糞の形(太さや先の尖り方)を数字で示した自治体・東京都の資料は、今回確かめた範囲では見つかりませんでした。そのため、形による見分け方はここでは書きません。
かじり跡・通り道の汚れ・音・季節の目安
かじり跡は、食べ物だけではありません。川口市の資料では柱や壁、横浜市港北区の資料では配管や電線をかじって火災の原因をつくることがあると説明しています。東京都福祉保健局の小冊子には、かじられたふすまとケーブルの例も載っています。食品の袋のほか、コード類や木部の端も見ておきます。
通り道の汚れは、種類を絞る手がかりになります。横浜市港北区の資料には、次のように書かれています。
- クマネズミ:梁や柱などを好んで渡り歩き、体脂と体に付いた汚れによって通路が黒光りする
- ドブネズミ:通路の地面が踏み固められて光沢が見られる
ネズミは決まった通り道を通ることが多い、と東京都多摩府中保健所の冊子にあります。同じ冊子は、ネズミは隅から隅へと移動する習性があるとも書いています。川口市の資料もネズミの通り道を「壁際や狭いところ」としています。黒光りした線が壁際や配管沿いにあれば、通路の目安になります。
音について、東京都多摩府中保健所の冊子は、屋内にいるネズミは人に依存して生活しているため、人の生活パターンに左右され、人が寝静まった夜間や留守の時間帯に活動することが多いと説明しています。夜に音がして昼は静かな点は、ネズミの活動のしかたと食い違いません。
季節については、同じ冊子のQ&Aに、一般的に寒くなる10〜11月頃に暖かい民家へ侵入するため被害が多くなり、外が暖かくなる3月頃から少なくなる、とあります。川口市の資料にも、気温が下がると屋内に侵入することが増える、とあります。この記事の公開時期である11月は、まさにその時期です。
音だけではネズミ以外の動物と区別がつかない場合もあります。ハクビシンやアライグマが疑われるときは、先に足音の記事で見分け方を確認してください。
見つけた種類で、対策の考え方が変わる
東京都多摩府中保健所の冊子によると、東京都におけるネズミの被害のほとんどがクマネズミで、寄せられる相談もほとんどがクマネズミです。同じ冊子は、ドブネズミは毒えさやトラップの効果が期待できる一方、警戒心が非常に強いクマネズミは毒えさやトラップになかなかかからないと説明しています。東京都福祉保健局の小冊子も、捕獲器と殺そ剤はドブネズミ・ハツカネズミに有効で、クマネズミには専門業者でもなかなか困難と言われている、と書いています。
さいたま市の資料も、どちらの種類かわからない場合は、クマネズミを想定して対処するとよいとしています。同じ資料は対策の基本を「環境的防除」とし、侵入経路や移動経路をなくす、エサとなるものをなくす、巣を作らせない、の3つを挙げています。東京都多摩府中保健所の冊子も、えさを与えない、巣を作らせない、侵入口をふさぐ、の3つを「環境的防除」としています。
侵入口の大きさは、資料によって数字が異なります。
| 資料 | ネズミが通れるすき間 |
|---|---|
| 東京都多摩府中保健所 | クマネズミは1.2cm以上のすき間なら通り抜けられる |
| 町田市保健所 | 小さいものでは1〜2cm程度。ハツカネズミは1cm程度 |
| さいたま市 | 1.5cm程度のすき間があれば通り抜けられる |
| 川口市 | 子ネズミで1.5cm、大人のネズミは2.5cm |
| 横浜市港北区 | 床下通風口、戸袋の隙間、屋根の裏側の庇の隙間など2〜3cmの穴があれば侵入できる |
資料によって数字に幅があるため、最も小さい1cm程度のすき間まで点検の対象にします。町田市保健所の資料があげる入口は、壁のヒビや基礎のすき間、換気扇、通気口、電線などの導入部、ドアのすき間、エアコンパイプ周り、雨戸の戸袋、床下通気口、屋根と壁のすき間などです。ふさぎ方の材料は、町田市保健所の資料に、パテやモルタル、金属たわし、金網の例があります。
ネズミがいる間にふさいだ場合について、東京都多摩府中保健所の冊子は、餌を与えない対策が徹底されていれば餌を仕掛けたトラップにかかりやすくなると書いています。また、天井裏や高所などの危険な場所は、専門業者に依頼したほうがよい場合もあると同じ冊子が注意しています。自分で屋根や天井裏に上がる作業は、転落の危険があります。
糞を見つけたときの衛生上の注意
東京都福祉保健局の小冊子は、ネズミ由来の感染症が起きる経路として、人がネズミに咬まれたり体に触ったりして直接感染する場合と、糞や尿に出た病原体が飲み水や食品を汚染して口から入る場合を挙げています。例として、ハンタウイルスによる腎症候性出血熱(近年日本で感染者は出ていないと書かれています)と、ネズミを含む野生動物の尿で汚染された水に触れることで起きるレプトスピラ症が載っています。
糞が落ちていた場所の扱いについては、次のとおりです。
- 消毒する場合は、消毒用エタノールでの清拭で十分です。消毒箇所はあまり神経質にならず、食器や調理器具など、間接的に食品を汚染する可能性のあるものの洗浄消毒を中心に行います(さいたま市)
- 糞が落ちていた場所を消毒するなら消毒用アルコールで拭き取る程度でよいが、調理台や食器、調理器具など、間接的に食品が汚染される危険のある場所や器具は、よく洗浄、消毒する(東京都多摩府中保健所)
- 捕獲したネズミを処理するときは、マスクや使い捨て手袋などを使い、直接触らない。死体は燃えるごみとして出す(さいたま市)
さいたま市のマスクと手袋の記述は、捕獲したネズミを処理する場面のものです。糞の片付け方(掃除機の使用の可否や、乾いた糞の扱いなど)を具体的に定めた公式資料は、今回確かめた範囲では見つかりませんでした。そのため、ここでは書いていません。手順が気になるときは、住まいの市区町村の保健所に聞いてください。
自分でできることと、窓口に聞くこと
自分でできるのは、食べ物を蓋つきの容器や戸棚、冷蔵庫にしまうこと、生ごみに蓋をすること、仏壇の供え物やペットフードを夜間に出したままにしないこと、巣の材料になる新聞・布・段ボールを整理すること、見つけた侵入口のうち手の届く低い場所をふさぐことです。町田市保健所の資料には、粘着シート、毒餌、カゴトラップがドラッグストアやホームセンターで買えるとありますが、毒餌は人やペットにも有害で、誤って食べないよう注意するように書かれています。
窓口については、自治体で役割が違います。町田市保健所はネズミ・衛生害虫の対策や駆除方法についてアドバイスをしています(生活衛生課環境衛生係、042-722-7354)。東京都多摩府中保健所は相談を受け付けており、駆除は行っていません。さいたま市の保健所は防除作業や駆除を、川口市の保健所は駆除を行っていないと明記しています。川口市の資料では、専門業者に頼むときの調査・駆除費用は自己負担です。まず自分の市区町村の保健所に、相談を受けているか、駆除の事業があるかを聞いてください。
参考:ビル向けの厚生労働省の資料にある調査項目
建築物衛生法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)の施行規則では、ねずみ等の防除について、6月以内ごとに1回、定期に統一的に調査を実施し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることが定められていると、厚生労働省の資料にあります。同じ資料によると、厚生労働省の告示(空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準)では、食料を取り扱う区域など、ねずみ等が特に発生しやすい箇所は、2月以内ごとに1回、生息状況等を調査することになっています。対象は特定建築物(ビルなど)で、一般の住宅向けの決まりではありません。
この資料がIPMの実施モデルの代表的な例として示す「目視による証跡調査」の項目は、「新しい糞、尿によるシミ、足跡、囓り跡、ラブサイン(こすり跡)、鳴き声、侵入場所(穴)、営巣場所」です。糞は「新しい糞」と書かれていますが、新旧を見分ける基準は、この資料にも書かれていません。この項目は住宅向けの手順ではないため、家庭で糞を見つけたときの目安として挙げるにとどめます。
次にすること
- 糞を見つけた場所、大きさ(定規を添えて写真)、散らばっているかかたまっているかを記録する
- 壁際や配管沿いに黒光りした線がないか、コードや柱、食品の袋にかじり跡がないかを見る
- 痕跡のある高さが天井裏・壁の中なのか、床下・庭の植込み付近なのかを書き留める
- 食べ物、ペットフード、生ごみ、巣の材料になるものを片付ける
- 家の外周で、通気口、配管の貫通部、戸袋、屋根と壁のすき間を点検する
- 糞の場所を拭くなら消毒用エタノールで足りる。調理台や食器は洗浄する
ハクビシン・アライグマの侵入口のふさぎ方は、追い出し方の記事にあります。ネズミとは扱いが違うので、読み分けてください。
出典(確かめた日)
- 町田市保健所 ネズミ対策パンフレット(ネズミ3種の体長・糞の大きさ・住まいのサイン)(2026年11月7日)
- 東京都多摩府中保健所 ねずみ対策の冊子(クマネズミの特徴・ラットサイン・糞の消毒のQ&A)(2026年11月7日)
- 東京都福祉保健局 ねずみ対策の小冊子(種類の見分け方・ラットサイン・ねずみ由来感染症)(2026年11月7日)
- さいたま市 ネズミの防除について(ラットサイン・糞が落ちていた場所の消毒)(2026年11月7日)
- 川口市 ネズミの被害(ドブネズミとクマネズミの糞の落ち方・生息場所)(2026年11月7日)
- 横浜市港北区 ネズミについて(ラットサインの通路の跡・侵入できる穴の大きさ)(2026年11月7日)
- 厚生労働省 ねずみ等の防除 IPM(総合的有害生物管理)の施工方法(建築物衛生法施行規則の調査と証跡調査の項目)(2026年11月7日)