屋根裏のハクビシン・アライグマを自分で追い出す方法|えさを断つ・侵入口をふさぐ・忌避剤の注意点
この記事のまとめ
- 東京都は、くん煙式などの忌避剤でその場から動物を追い出せる可能性はあるが、逃げた個体が別の家で被害を起こすため根本的な解決にならないとしています。
- 追い出しの前後でやることは、えさになるものを片付ける、庭木の枝を切る、壊れた通風口や屋根の隙間などの侵入口をふさぐ、の3つです。
- 町田市の資料では、ハクビシンは直径8cmくらいの穴から入れ、アライグマは小さい穴をこじ開けるため、隙間を作らない・ふさぐことが重要とされています。
- 相模原市は、動物が建物の中にいないことを確認してから侵入口をふさぐよう案内しています。中にいる間にふさいでよいかを定めた資料は確かめられませんでした。
- 屋根裏への出入り口は高い場所にあります。はしごや脚立の事故は70歳以上で重い被害になりやすく、屋根の上の作業は自分で無理をしない判断が先です。
屋根裏のハクビシンやアライグマを捕まえずに遠ざけるには、「えさを断つ」「ねぐらになる隙間をふさぐ」「庭木の枝など登り道を切る」の3つを続けるのが、今回確かめた公的な資料が挙げる対策です。くん煙式の忌避剤で一時的に追い出せる可能性はありますが、東京都は、逃げた個体が別の家で被害を起こすので根本的な解決にならないとしています。
この記事は、捕獲しない追い出しと予防に絞ります。捕獲には許可が要り、許可なく捕まえると違法です。許可の手続きはハクビシン・アライグマを許可なく捕まえてはいけない理由と、捕獲の許可を取る手続きに書きました。動物の見分け方は屋根裏の足音はハクビシン?ネズミ?音・時間帯・糞で見分ける方法とハクビシンとアライグマの糞の違いにあるので、ここでは重ねません。
先に:高い場所の作業は危険です
屋根裏の侵入口は、軒下、屋根と壁の隙間、通風口など、地面から離れた場所にあります。そこに手を届かせるには、はしごや脚立を使うことになります。
NITE(製品評価技術基盤機構)の資料によると、平成23〜27年度の5年間に、はしごや脚立の事故が208件通知され、203件で人が被害を受けています。死亡は2件、重傷は94件で、死亡の2件はどちらもはしごの事故でした。年齢別では60歳代が最も多く、70歳以上では27件のうち19件が死亡・重傷です。なお、この件数にはロフト用や天井収納型のはしごの事故は含まれていません。
同じ資料が挙げる使い方の注意は、次のとおりです。
- はしごは立て掛けて昇り降りに使うもので、はしごの上に乗ったままの作業は禁止されている
- 立て掛け角度は約75度にし、上端の掛かりを十分にとる
- 傾斜のある地面や滑りやすい場所では使わない
- 昇り降りのときは補助者がはしごを支える
- 体を横に乗り出さない。脚立は跨がず、軟らかい土や砂利の上に置かない
屋根の上に登る作業の安全については、今回確かめた資料の中に具体的な基準を見つけられなかったため、数字や手順は書きません。高さがある場所、屋根の上、足場が悪い場所は、自分で作業せず、工務店などに頼むほうが安全です。
追い出す前に知っておくこと:時期と順番
自治体の資料から、手順の流れと注意点を整理します。
彦根市の資料は、根本的な対策を次の順に示しています。
- 侵入口を見つける(縁の下、建物の継ぎ目、屋根の隙間など)
- 動物を建物から追い出す
- 追い出した後に、侵入口をふさぐ
同じ資料は、動物が人家に入る理由として、ねぐらにしている、えさのネズミを求めて来た、春から夏頃なら子育て、冬なら越冬などを挙げ、侵入口がある限り動物は出入りしてしまう、と書いています。
農林水産省の資料も、ハクビシンとアライグマはねぐらを建物の中に作ることが多く、天井裏や壁の隙間などの狭いところを好むと書いています。このねぐらは時期によって出産場所にもなり、静かで安心できる場所が選ばれて、密かに子育てが行われているので注意が必要、という説明です。
ここで、確かめられなかったことを正直に書きます。中に動物がいる間に侵入口をふさいでよいか、子どもがいる時期にどう動くかを定めた公的な資料は、今回は見つかりませんでした。 相模原市は、建物の周りを調べて侵入口を特定し、動物が建物の中にいないことを確認してから侵入口をふさぐよう案内しています(天井裏に入った動物は、食べ物を探すために外に出る、と添えています)。ただ、「いないことの確認」を自分でどうやって行うかまでは、確かめた資料に書かれていません。子どもがいる可能性のある春から夏、あるいは居るかどうか分からないときは、ふさぐ前に市区町村の環境担当の窓口へ聞いてください。
えさを断つ
えさを断つ対策は、東京都、農林水産省、町田市、相模原市の資料に共通して出てきます。自分で今日からできる中心の作業です。
| すること | 書かれている資料 |
|---|---|
| 庭木の果実(柿・ビワなど)や放棄した農作物を、残したままにせず処理する。町田市は、果実は早めに収穫するよう書いている | 東京都、町田市 |
| ペットのエサの食べ残し、お墓の供え物を野外に放置しない | 東京都、相模原市(ペットのエサ) |
| 農地・家庭菜園をネットや電気柵などで防護する | 東京都 |
| 池などで魚を飼っている場合は、金網で池を覆う | 東京都 |
| 農地や人家の周辺に生ごみ等を放置しない | 東京都、相模原市 |
| 干し柿・干し芋などは、ネットに入れて干すなど、食べられないように管理する | 農林水産省 |
| 糖分を含む缶ジュースの空き缶は、水で洗って処分する | 農林水産省 |
| 果物・ジュース・菓子のお供え物は、お参りが終わったら持ち帰る | 農林水産省 |
町田市の冊子には、酸っぱい果物(レモンなど)には寄って来ない傾向がある、という一文もあります。これは傾向として書かれたもので、植えておけば防げるという意味ではありません。
農林水産省の資料は、ハクビシンやアライグマがどのねぐらを使うかはえさ場と密接な関係があり、特にハクビシンはえさ場の近くにねぐらを作ると説明しています。くり返し被害が出る場所の近くには、ねぐらがあると考えてよい、とも書いています。えさを減らすことは、ねぐらを使い続けさせないことにつながります。
登り道を断つ:枝・雨どい・ベランダ
町田市の冊子によると、アライグマとハクビシンは雨どいを使って器用に登り降りでき、庭木が伸びて屋根やベランダにかかっていると、それを伝って侵入します。伸びた枝をこまめに切ること、草木が茂って動物が隠れやすくならないよう手入れをすることが挙げられています。東京都も、家屋への侵入経路になるような木の枝等は切るとしています。相模原市も同様です。
枝切りも、脚立の上で行うなら、先の高所作業の注意が当てはまります。高い枝は無理をしない判断が先です。
侵入口をふさぐ
東京都は、家屋への入り口となるような破損個所等は塞いでおく、と書いています。どこが入り口になりやすいかは、資料に具体例があります。
- 町田市の冊子:築40年以上の建物からの相談が多く、劣化して穴が開いた所だけでなく、屋根の組み合わせの隙間など、建物の構造上できている隙間から入るケースもあった
- 農林水産省:増築や改築で隙間ができ、そこから入られる。昭和30年代中頃から40年代後半に建てられた建物で侵入率が最も高い。写真には、壊れた通風口と増改築による隙間が出ている
- 彦根市:縁の下、増改築した建物の継ぎ目、屋根の隙間が入り口になる
どのくらいの隙間をふさげばよいかについて、町田市の冊子は、ハクビシンは直径8センチくらいの穴から侵入でき、ネズミは1〜2センチくらいの隙間でも入ると書いています。アライグマは小さい穴をこじ開けて入ることがあり、家屋への被害が大きくなるため、隙間をできるだけ作らない・ふさぐことが重要とされています。
ふさぐ材料や工法(金網の目の細かさ、固定の方法など)は、今回確かめた資料の中に具体的な数字や手順を見つけられなかったため、ここでは書きません。相模原市は、自分で対応できないときは、専門の業者として神奈川県ペストコントロール協会を紹介し、捕獲費用がかかると注意しています。これは相模原市の案内なので、ほかの地域では、お住まいの市区町村の窓口が紹介する先を聞くのが近道です。
忌避剤・くん煙剤の注意点
公的な資料が言っていること
東京都のページは、屋根裏にアライグマ・ハクビシンが入ったとき、くん蒸式・くん煙式の殺虫剤等の忌避剤を使えば、その場から動物を追い出せる可能性はある、と書いています。そのうえで、次の2点を断っています。
- 逃げた個体が別の家に逃げ込み、そこで被害を起こすことが考えられる。忌避剤の使用は、数を減らすという根本的な解決につながらない
- 密閉空間でないと、くん煙が全体に行きわたらず、動物が屋根裏に居続けて効果がないことも考えられる
相模原市は、市販の煙が出るタイプの殺虫剤を使うのも効果的としたうえで、追い出した後は侵入口をふさぐよう書いています。つまり、忌避剤は追い出しの道具の1つで、そのあとに、えさを断つことと侵入口をふさぐことが続かなければ、戻ってくる余地が残ります。
町田市の冊子は、液体や固形、オオカミのにおいを似せたものなど、ホームセンターやインターネットで買える忌避剤があると紹介しています。効果があったという人の話では、相当強いにおいのものを使っていたそうです。においが強いものは隣近所まで届くことがあるので、強力な忌避剤を使うときは、近所の人に声をかけてから使うのがよい、という案内です。
製品の表示を読む
くん煙剤の製品には、使う場所と対象が決まっています。例として、販売元の公式サイトにある「バルサンプロEX 40g」(第2類医薬品)を確かめました(2026-11-07)。
| 項目 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| 適用害虫 | ゴキブリ、イエダニ、ノミ、トコジラミ、ハエ成虫、蚊成虫、屋内塵性ダニ類 |
| 規格 | 12〜16畳用 |
| 警報器 | 煙を感知する火災警報器、微粒子を感知するガス警報器は反応することがあるので、袋などで覆う |
| ペット | ペット類、観賞魚、植物は部屋の外に出す |
| 食品・食器・家電など | 食品や食器などは覆うか部屋の外に出す。テレビ・パソコンなどの精密機器やピアノにはカバーをする |
| 使用中・使用後 | 煙が出始めたら部屋の外に出て、2〜3時間またはそれ以上閉め切る。十分に換気してから入る |
適用害虫の欄に、ハクビシンやアライグマなどの動物は入っていません。この製品が屋根裏の動物の追い出しに向くかどうかを、製品の側が説明している記載は、確かめたページにありませんでした。東京都(くん蒸式・くん煙式の殺虫剤等)と相模原市(市販の煙が出るタイプの殺虫剤)が挙げているのは方法の紹介で、この製品を勧めたものではありません。使うなら、お持ちの製品の説明書にある使用場所、火気、警報器、換気の注意を先に読み、書かれた範囲を超える使い方は、製造販売元の問い合わせ先に聞いてください。
屋根裏は住居の天井の上にあり、煙や薬剤が居室に流れる可能性もあります。この点を扱った公的な資料は確かめられなかったため、使うときの注意は説明書と販売元の案内に従う、とだけ書きます。
自分でできること/窓口や業者に頼むこと
| 自分でできる | 窓口や業者に頼む |
|---|---|
| えさになるものを片付ける | 屋根の上、高所の侵入口をふさぐ作業 |
| 地上から届く範囲で、庭木の枝を切る | 子どもがいる可能性があるときのふさぎ方の相談 |
| 糞や足跡、侵入口の候補を写真に撮る | 動物がいないことの確認の仕方の相談 |
| 低い位置の小さな破損を確かめる | 捕獲が必要な場合(許可の手続きを済ませた事業者、自治体の事業) |
| 強いにおいの忌避剤を使うときは近所に声をかける | 糞尿の清掃・消毒 |
糞尿の片付けは、衛生の注意が要ります。素手でさわらないことなどはハクビシンとアライグマの糞の違いにまとめました。
次にすること
- 高い場所に登る前に、はしごを使う場合は補助者に支えてもらい、傾斜のある地面や滑りやすい場所では使わない。70歳以上は事故が重い被害になりやすいので無理をしない。屋根の上は自分で作業しない
- 家の周りで、屋根と壁の隙間、通風口の破損、増改築の継ぎ目、屋根にかかる枝を、地上から見て記録する
- 生ごみ、果実、ペットフード、お供え物など、えさになるものを外に出しっぱなしにしない
- 動物が中にいるか、子どもがいる時期かが分からないうちは、ふさがずに、市区町村の環境担当の窓口へ状況を伝えて聞く(東京都は、まず各区市町の環境部署や清掃部署等に問い合わせるよう案内しています)
- 捕獲が必要になったときは、許可が要ります。捕獲の許可の記事を参照してください
- 動物の種類がはっきりしないときは、足音の見分け方で手がかりを整理してから窓口に伝える
出典(確かめた日)
- 東京都環境局 アライグマ・ハクビシン対策 被害を防ぐために(更新日 2026年4月6日)(2026年11月7日)
- 農林水産省 野生鳥獣被害防止マニュアル(中型獣類)「中型獣対策の基本」(環境管理・ねぐらを作らせない)(2026年11月7日)
- 町田市 アライグマ・ハクビシン冊子 P10「どこから屋内に侵入してくる?」(2026年11月7日)
- 町田市 アライグマ・ハクビシン冊子 P11「忌避剤ってなに?」(2026年11月7日)
- 相模原市 ごみ・リサイクル・環境 よくある質問(屋根裏に動物が入ったとき。2025年7月4日更新)(2026年11月7日)
- 彦根市 野生動物のよくある質問(人家に入り込んだ動物への対処。2022年12月作成)(2026年11月7日)
- バルサンプロEX 40g 商品情報(販売元の公式サイト。適用害虫と使用上の注意)(2026年11月7日)
- NITE(製品評価技術基盤機構)はしごや脚立の転倒・転落事故にご注意ください(平成28年8月25日)(2026年11月7日)