屋根裏の足音はハクビシン?ネズミ?音・時間帯・糞で見分ける方法

この記事のまとめ

  • 天井裏で「大きな音」や「何かを引きずるような音」がするならハクビシンやアライグマ、「カタカタ」「カリカリ」と小さな音がするならネズミが疑われる、と自治体の資料にあります。
  • ネズミの糞は種類で大きさが違い、クマネズミは6〜10mm、ドブネズミは10〜20mm、ハツカネズミは4〜7mmです。
  • ハクビシンは夜行性で、同じ場所に糞尿をする習性があり、天井のシミや雨どい・ベランダの糞も手がかりになります。
  • ハクビシンは鳥獣保護管理法の対象で、天井裏にいても許可なく捕まえると違法です。ネズミ3種は対象外です。
  • 音だけでは決めきれないので、侵入口の隙間をふさぐ前に、市区町村の窓口で相談先を確かめます。

屋根裏の足音の主は、音の種類・聞こえる時間帯・糞の大きさと場所の3つを重ねると、ハクビシンかネズミかを絞り込む手がかりになります。自治体の資料では、天井裏で「大きな音」や「何かを引きずるような音」がするときはハクビシンやアライグマの被害を、夜中から夜明けに天井や壁の中で「カタカタ」と鳴り、黒い5mm程度の細い糞が落ちているときはネズミを疑う目安にしています。

ただし、音だけで決めるのは危うい面があります。新潟市のチラシには、騒音がして「ハクビシンかな」と思っても、実際はネズミや鳥類、コウモリの場合があると書かれています。この記事では、各自治体の公式資料に書かれている見分けの手がかりを整理し、そのあとで捕獲に関する法律の決まりと、頼れる窓口を説明します。

先に知っておくこと:勝手に捕まえてはいけない

見分けの話の前に、法律の決まりを押さえます。ここを知らないまま動くと、違法になるおそれがあります。

町田市の資料によると、アライグマやハクビシンなどの野生のほ乳類は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護管理法)の対象で、捕獲・殺傷するには都道府県知事の許可が必要です。同じ資料は、「天井裏に侵入した」「庭にいて困っている」という状況でも、許可なく捕獲すると鳥獣保護管理法違反になると注意しています。新潟市のチラシも、無許可で捕獲した場合は罰則の対象になると書いています。

箱わなで捕まえる場合は、許可を得るのに原則としてわな猟免許が必要です。町田市の資料では、住宅内に被害があるときなどは例外があるとされています。

一方、ネズミは扱いが違います。町田市の資料は、ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの3種は鳥獣保護管理法の対象外で、捕獲に都道府県知事の許可は要らないと書いています。つまり「ハクビシンなら許可が要る、ネズミなら要らない」ので、正体を見分けることが、そのあとの動き方を左右します。

なお、アライグマは外来生物法で特定外来生物に指定されていて、環境大臣の防除の認定を受けた人が捕獲する場合は鳥獣保護管理法の適用を受けない、と町田市の資料にあります。アライグマの可能性があるときも、自分で捕まえる前に、市区町村の窓口で扱いを確かめます。

音で見分ける:大きな音か、小さな音か

音の特徴は、資料ごとに次のように書かれています。

手がかり ハクビシン・アライグマ側 ネズミ側
音の種類 天井裏で大きな音や何かを引きずるような音(港区) 天井や壁の中からカタカタ音(町田市保健所)、カリカリと建材をかじる音(新潟市)
時間帯 基本的に夜行性で、昼間は木の穴や屋根裏、廃屋などにいる(東京都環境局の情報による町田市の資料) 夜中や夜明けに音がする(町田市保健所)

ここで注意したいのは、時間帯の欄です。ハクビシンも夜行性、ネズミの音も夜中から夜明けなので、「夜に音がする」だけでは見分けられません。音の大きさと質(ドタドタ・引きずる音か、カタカタ・カリカリか)のほうが手がかりになります。

町田市の資料には、ハクビシンは昼間に屋根裏で休むとあります。昼間にも天井裏で気配がするときは、夜行性の動物が屋根裏で寝ている状況も含めて考える材料になります。ただし、昼の気配だけでハクビシンと決めてよい、とまでは、確かめた資料に書かれていません。

糞で見分ける:大きさと落ちている場所

ネズミの糞は種類で大きさが違う

町田市保健所のパンフレットに、市内に主に生息するネズミ3種の比較表があります。

ドブネズミ クマネズミ ハツカネズミ
体長(尾を含まず) 22〜26cm 15〜20cm 6〜9cm
糞の大きさ 10〜20mm 6〜10mm 4〜7mm
特徴 植込みや地下に多い。肉を好み、警戒心はあまり強くない 主に室内に巣を作る。身軽で警戒心が強く、毒餌やトラップにかかりにくい 1cm程度の隙間から入る。畑や森に多い

表の特徴では、主に室内に巣を作るのはクマネズミです。パンフレットは、天井裏・押入れ・壁の間に新聞、布、段ボールなどで巣を作ることがあるとも書いています。「黒い5mm程度の細いかたまりが落ちている」のはネズミの目安の1つで、パンや乾燥麺、野菜などにかじられた跡があるのも目安です。

ハクビシンは「同じ場所」に糞尿をする

町田市の資料(東京都環境局の情報をもとにしたもの)には、ハクビシンは同じ場所に糞尿をするとあります。尿は強いアンモニア臭があり、糞は甘い果物を好む食性から、甘い果物のような香りがすることがある、という説明です。

港区のチラシは、ハクビシン・アライグマの被害の目安として、次の項目を挙げています。

ネズミの糞が点々と落ちるのに対し、ハクビシンの側は「まとまって」「同じ場所に」という書かれ方です。ただし、新潟市のチラシでは「決まった場所に糞をするためフン」の習性はタヌキの特徴として挙げられています。ため糞があるだけでは、ハクビシンとタヌキを分けられません。タヌキは主に床下、ハクビシンは主に天井裏に侵入する、というのが新潟市の整理です。

ハクビシンの糞そのものの大きさや形は、今回確かめた自治体資料に数字が見つからなかったため、この記事では書きません。

姿・足跡・痕跡で見分ける

運よく姿が見えたり、足跡や毛が残っていたりしたら、決め手になります。

動物 姿・足跡の特徴
ハクビシン 額から鼻にかけて白い筋がある。尾が長く、体の長さとほぼ同じ。足の指は5本で爪跡ははっきりしない。木登りが得意(港区、新潟市)
アライグマ 目の周りが黒い。尾に黒いリング状の縞模様。足の指は5本で爪が長い(港区)
タヌキ 体色は灰褐色。足の指は4本(新潟市)
ネコ(参考) 足跡は4本指(町田市の資料)

新潟市のチラシでは、ハクビシンの体長を50〜75cm、体色をこげ茶としています。ネズミの体長は先の表のとおり6〜26cmで、姿を見られれば、大きさも手がかりになります。

侵入口の付近には、足跡や体毛などの痕跡が残っている場合があります(新潟市)。屋根の合わせ目のすき間、床下通風口の破損部分などが野生動物の侵入口になることが少なくない、とも書かれています。庭木の枝がベランダなどにかかっていると、ハクビシンの侵入経路になることがある点も、同じ資料にあります。

自分でできること

動物の正体が決まらなくても、どちらにも共通して効く対策が、自治体の資料に載っています。

えさを断つ

ねぐら・巣材を減らす

侵入口をふさぐ

ここで1点、手順の注意があります。中に動物がいる間にふさいでよいかどうかを扱った公式資料は、今回確かめられませんでした。ハクビシンの疑いがあるときは、ふさぐ前に市区町村の窓口へ聞いておくと安心です。

ネズミ用の粘着シート、毒餌、カゴトラップは、ドラッグストアやホームセンターで買えると町田市保健所は案内しています。毒餌は人やペットにも有害なので、誤って食べないよう注意が必要です。

窓口や業者に頼むべきこと

ハクビシンやアライグマと分かった、あるいは疑われるときは、捕獲そのものを自分でしないのが前提です。選べる道は、次の3つです。

  1. 市区町村の窓口に聞く:自治体によって、箱わなの設置を行う事業があります。
  2. 許可の手続きを済ませた専門業者に頼む:町田市の資料によると、住宅に被害を与える中型のほ乳類の駆除を行う専門業者は、あらかじめ許可等の手続きを取っているため、法律に違反せずに対象の動物を捕獲できます。1社では金額の高い安いが判断しにくいため、複数の業者から見積もりを取ることを勧めています。
  3. ネズミなら保健所などに聞く:町田市保健所は、ネズミや衛生害虫の対策・駆除方法についてアドバイスをしています(生活衛生課環境衛生係、042-722-7354)。助言の範囲は自治体で異なるため、お住まいの市区町村で確かめます。

自治体の事業の例:板橋区

板橋区の例を挙げます。区は、建物の天井裏や屋根裏に入られた被害などがある場合に、専門業者による箱わなの設置から処分までの費用を負担しています。

項目 内容
対象 天井裏・屋根裏への侵入被害、または敷地内の果樹・家庭菜園の食害。ハクビシン・アライグマが対象で、目撃のみで実害がない場合は対象外
条件 建物の所有者または管理者からの依頼。事前調査や設置・回収に立ち会える。毎日見回れる。捕獲時にすぐ連絡できる
設置期間 原則1週間、最長4週間。年度内1回まで
区が負担 箱わなの設置から処分までの費用(箱わなに入れるエサは依頼する人が用意)
自己負担 侵入路をふさぐ工事、糞尿の撤去・清掃・消毒、動物がハクビシンか判断できない場合の専門業者への依頼など

港区も専門業者による箱わな設置などの事業を行っていて、1日1回以上の見回りができることなどが要件で、目撃情報だけでは対象にならず、清掃作業や住宅の穴をふさぐ工事は実施しないとチラシにあります。板橋区と港区では、わなの設置と回収が事業の中心で、ふさぐ工事や清掃は事業に含まれていません。

文京区の防除事業は、箱わなの設置場所が屋外だけで、屋根裏などの屋内は対象外です。天井裏の被害でも、自治体によって事業の対象にならないことがあります。ほかの市区町村の制度は異なるので、板橋区や港区の条件を、自分の地域に当てはめないでください。

次にすること

  1. 音の種類(大きな音・引きずる音か、カタカタ・カリカリか)と、聞こえる時間帯をメモする
  2. 天井のシミ、雨どい・ベランダ・屋根裏の糞の場所と大きさ(定規を添えて写真)、かじられた跡を記録する
  3. 家の外周で、屋根の合わせ目、床下通気口、換気口などの隙間と、屋根にかかる枝を確かめる
  4. えさになるもの(生ごみ、果実、ペットフード)を片付ける
  5. ハクビシン・アライグマの疑いが強ければ、捕獲せずに、市区町村の環境担当の窓口へ連絡する。東京都環境局のアライグマ・ハクビシン対策のページには、問い合わせ先として、23区内は自然環境部計画課鳥獣保護管理担当(03-5388-3505)、多摩地区は多摩環境事務所自然環境課鳥獣保護管理担当(042-521-2948)が書かれています(2026-11-07確認)
  6. ネズミの疑いが強ければ、保健所などで助言を受けられるか確かめ、隙間ふさぎと食べ物の片付けを先に進める

正体が分からないまま、わなを置くのは避けてください。ハクビシンやアライグマの捕獲には許可が要るためです。記録を持って窓口に伝えれば、相談がしやすくなります。

出典(確かめた日)