ハクビシン・アライグマを許可なく捕まえてはいけない理由と、捕獲の許可を取る手続き

この記事のまとめ

  • ハクビシンとアライグマは狩猟鳥獣ですが、狩猟免許と狩猟者登録を受け、狩猟可能区域・狩猟期間を守った狩猟でなければ捕獲には許可が要り、許可なく狩猟期間外などに捕獲すると、鳥獣保護管理法で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。
  • 捕獲の許可は環境大臣か都道府県知事が出し、多くの都道府県は権限の一部を市町村長に移していて、東京都は防除対策をしても被害が防げないときに捕獲を行うのが原則と説明しています。
  • 確かめた3か所では、申請書、捕獲場所の図面や地図、わなの図面や写真が共通の書類で、わな猟免許の扱いは許可の基準で決まり、兵庫県は住宅などの建物内の被害を防ぐために敷地内で小型の箱わなを使う場合に、免許なしの申請を認めています。
  • アライグマは外来生物法の防除の確認・認定を受けた人なら鳥獣保護管理法の許可なしで捕獲できますが、防除実施計画を立てる手続きで、自宅の被害だけを対象にした案内は確かめた資料にありませんでした。
  • 自分で申請しない場合は、町田市のような市区町村の駆除の事業や、町田市の資料が挙げる、許可などの手続きを済ませた専門業者という道があります。

ハクビシンとアライグマは、庭を荒らしても、天井裏に住みついても、許可なく自分で捕まえることはできません。野生の鳥獣は原則として捕獲が禁じられていて、例外は、国や都道府県(権限が移されていれば市町村)の許可を受けた捕獲と、狩猟免許と狩猟者登録を受けた人が決められた区域・期間に行う狩猟などに限られるためです。被害を防ぐための捕獲は、許可を得て自分で行うか、許可などの手続きを済ませた専門業者や自治体の事業に任せる形になります。

この記事では、まず許可なしの捕獲が違法になる根拠を条文で確かめます。そのあと、許可の申請先・必要書類・わな猟免許の要否を、東京都・名古屋市・兵庫県・町田市の公式ページで比べ、アライグマだけに関わる外来生物法の扱いも整理します。動物の見分け方は、屋根裏の足音はハクビシン?ネズミ?音・時間帯・糞で見分ける方法とハクビシンとアライグマの糞の違いに書いたので、ここでは重ねません。

許可なしで捕まえてはいけない理由

鳥獣保護管理法の第8条は、鳥獣は捕獲等をしてはならないと定め、例外を3つだけ挙げています。第9条第1項の許可を受けて捕獲する場合、狩猟鳥獣を狩猟として捕獲する場合、第13条第1項に基づく場合です。町田市の資料も、天井裏に侵入した、庭にいて困っている、という事情があっても、許可なく捕獲すれば鳥獣保護管理法違反になると書いています。

罰則は、第83条に定められています。

場面 条文 罰則
狩猟可能区域以外で、または狩猟期間外に、狩猟鳥獣を捕獲する(許可を受けた人などを除く) 第83条第1項第2号 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
狩猟者登録を受けずに狩猟をする 第83条第1項第6号 同上
許可なく、狩猟鳥獣以外の鳥獣を捕獲する 第83条第1項第1号 同上
許可に付けられた条件に違反する 第84条第1項第1号 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

アライグマとハクビシンは、環境省の「狩猟制度の概要」にある46種の狩猟鳥獣に入っています。そのため、この2種に当てはまるのは主に表の上の2つで、第1号(狩猟鳥獣以外)はタヌキなど狩猟鳥獣でない動物がかかったときに関わります。第1号から第3号と第6号は、未遂も罰せられます(第83条第2項)。

「狩猟鳥獣なら自由に捕れる」わけではありません。狩猟には、都道府県知事の狩猟免許(第39条第1項)、毎年の狩猟者登録、狩猟可能区域と狩猟期間の守り方が要ります。環境省のページでは、狩猟は狩猟期間に限られ、許可捕獲は被害防止などの目的で、許可された期間であれば年中できるものとして比べられています。

許可はどんなときに出るのか

環境省の「捕獲許可制度の概要」によると、被害などがあるときは、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲できます。許可の基準は、許可権限者が捕獲の目的ごとに、鳥獣の種類・員数・期間・区域・方法などの要件として定めます。都道府県の基準は、知事が作る鳥獣保護管理事業計画に載っています。また、多くの都道府県では許可権限の一部を市町村長に移していると、同じページにあります。

東京都は、有害鳥獣捕獲について次のように説明しています。

東京都の申請書類には、特定の場所で捕獲する場合の被害状況写真と、必要に応じて出す被害防除対策状況写真が挙がっています。条文のうえでは、第9条第3項が、鳥獣の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあるときや、住民の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあるときなどを除いて、許可をしなければならないと定めています。許可には有効期間が定められ、条件が付くことがあります(第9条第4項・第5項)。

申請先・書類・わな猟免許の要否を比べる

申請先と書類の細部は、自治体で違います。公式ページを開いて確かめた3か所を並べます。

東京都 名古屋市 兵庫県
申請先 23区内は環境局自然環境部計画課、多摩地区は多摩環境事務所自然環境課、島しょ部は各支庁産業課 緑政土木局都市農業課と、北区(楠支所)・中川区・港区(南陽支所)・守山区・緑区・天白区の農政担当窓口 市町の担当窓口(ハクビシン・アライグマの許可権者は市町長)
申請書 鳥獣捕獲許可等申請書(第1号様式) 鳥獣捕獲等許可申請書(規則様式第2) 鳥獣捕獲許可等申請書(様式第2号)
主な添付 理由書、捕獲場所の図面、わなの大きさが分かる写真か寸法、被害状況写真(特定の場所で捕獲する場合) 捕獲をする場所の地図、使う用具の図面か写真 縮尺5万分の1以上の地形図、わなの大きさが分かる写真か寸法、被害状況写真(特定の場所の場合)
依頼書 被害を受けている人以外が申請するとき 第三者に捕獲を頼むとき 依頼を受けた人が申請するとき
受け付け方 窓口、郵送 窓口、郵送、メール、電子申請(許可証の受け取りは窓口) 各市町の担当窓口に提出
免許の扱い 「狩猟免状を要する申請の場合」に写しを添付(要否そのものは同ページに記載なし) 同ページに記載なし わな猟免許などが原則。ただし例外あり(下記)
手数料 同ページに記載なし 同ページに記載なし 同ページに記載なし

手数料は、確かめた3つのページのどこにも書かれていませんでした。申請前に窓口で聞いてください。

東京都は、申請を受け付けると受理証を出し、許可証は受理証と引き換えに渡します。名古屋市は、許可証の発行に1週間程度かかると案内し、申請時に運転免許証などで本人確認を行います。また名古屋市には、被害を受けている人が自分で捕獲する場合に、許可の申請と同時に貸出申請をして許可を受けた人へ、アライグマ・ハクビシン・ヌートリア用の捕獲箱を貸し出す制度があります。

わな猟免許は要るのか

免許の扱いは、許可権限者の基準で決まります。兵庫県のページには基準が書かれています。

町田市の資料にも、箱わなで捕獲するための許可は原則としてわな猟免許が要り、住宅内に被害がある場合などには例外がある、とあります。環境省のアライグマ防除の手引きも、捕獲した個体を適切に処分でき、住宅などの建物内や農地などの被害を防ぐ目的で、土地の所有者が自分で小型の箱わなを使って捕獲する場合は、免許を持たない人でも許可の申請ができると整理しています。

法律の側を見ると、第39条第3項は、わなを使う猟法で狩猟鳥獣を捕獲するにはわな猟免許が要るとしたうえで、第9条第1項の許可を受けてする場合はこの限りでないと書いています。許可捕獲に免許を求めるかどうかは、許可の基準しだいです。「免許がなければ申請もできない」とも「誰でも申請できる」とも言えないので、お住まいの窓口に聞くのが早道です。なお、わな猟免許は、18歳に満たない人には与えられません(第40条第1項第1号)。

許可が出たあとの決まり

許可を受けた人には、条文上、次の義務があります。

表示や報告を怠ると、第86条で30万円以下の罰金の対象です。許可証を他人に使わせることは、第84条で6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされています。許可は、申請した本人とその範囲に限られるものです。

アライグマだけ別の道がある:外来生物法

アライグマは特定外来生物で、外来生物法の対象でもあります。環境省のQ&Aは、鳥獣保護管理法の規制を受ける哺乳類と鳥類以外は誰でも防除できるとしたうえで、防除の確認・認定を受けていない人や、受けた人の従事者でない人は、鳥獣保護管理法の許可が必要になる場合があると書いています。

環境省の手引きは、2つの制度を比べています。

外来生物法の防除(確認・認定) 鳥獣保護管理法の許可捕獲
手続き 都道府県は防除の内容を公示。市町村は防除実施計画の確認を受ける。民間事業者や個人は認定を受ける 被害を受けた人か、その依頼を受けた人が、許可権者に申請する
期間・数 複数年の計画期間で、捕獲数の上限なし 最長1年以内で、捕獲数を決めて申請
免許を持たない人 一定の知識と技術があると認められれば、わなの設置から運搬までできる 原則として、わなの設置と止めさしはできない。見回りと餌の設置はできる

手引きの表には、民間事業者や個人も防除の内容を防除実施計画に示して認定を受ければ防除できる、とあります。ただし、計画を立てて申請する手続きです。自宅の被害だけを対象にした手順は、確かめた資料に書かれていませんでした。認定を考える場合も、先に地方環境事務所や市区町村の窓口に確かめてください。

もう1点、わなに別の動物が入った場合の扱いが手引きにあります。アライグマ用のわなにハクビシンやタヌキが入ったとき、すぐ放せば捕獲の許可は不要ですが、殺処分などをする場合は、その種に対する鳥獣保護管理法の許可が要ります。また手引きは、捕獲した個体の個人的な持ち帰りや野外への放置をしないよう求めています。

自分で申請しない場合の道

許可の取得や、捕獲した個体の処分が負担なら、次の道があります。

市区町村の事業を使う。 町田市は、市内の住宅の所有者(所有者の承諾を得た人を含む)で、敷地内に被害が出ている人を対象に、調査・わな設置・捕獲を専門業者に任せる事業を行っています。調査・わな設置・捕獲の費用は無料で、わなは原則1台、最長2週間、同じ住所は年度中1回限りです。わなの毎日の見回りと、えさの用意・交換は申込者が行います。消毒や穴ふさぎを別の業者に頼む場合は自己負担です。申し込みの前に、環境共生課(042-724-4391)へ状況を相談するよう案内されています。板橋区・港区・文京区の事業は、屋根裏の足音の記事で条件を比べています。自治体ごとに対象も範囲も違い、町田市のように、見かけるだけで具体的な被害がない場合は対象にならない例もあります。

許可の手続きを済ませた専門業者に頼む。 町田市の資料は、住宅に被害を与える中型のほ乳類の駆除を行う専門業者は、あらかじめ許可などの手続きを取っているため、法律に違反せずに捕獲できると説明しています。1社だけでは金額の高低が分かりにくいので、複数の業者から見積もりを取るよう勧めています。町田市のページは、民間業者の紹介先として東京都ペストコントロール協会(03-3254-0014)を挙げています。

自分でできること。 えさになるものの管理、侵入口の確認、庭木の枝の整理など、捕獲を伴わない対策は、前に挙げた2つの記事に書きました。

次にすること

  1. わなを置く前に、市区町村の環境・農政の窓口へ、被害の状況を伝えて相談する。許可権者が都道府県か市町村かは、自治体で違う
  2. 被害の写真、被害のある場所の地図、これまでの防除対策(えさの管理、侵入口の対応)の記録を用意する
  3. 自治体の事業の対象になるかを聞く。対象外なら、許可の手続きを済ませた業者を複数あたって見積もりを比べる
  4. 自分で申請する場合は、わな猟免許の要否、手数料、わなの貸出の有無を窓口に確かめる
  5. 許可を得ないまま、わなを置かない(未遂も罰則の対象)。置いたまま動物が入ってしまった場合の対応も、窓口に聞いておく

動物の種類が決まらないうちは、ハクビシンとアライグマの糞の違いと、屋根裏の足音の見分け方で手がかりを整理してから、窓口に伝えると話が早く進みます。

出典(確かめた日)